アレキシシアミ(失感情症)
一見クールで感情の波がない。
しかし心の中は…
 悲しいときは泣き、嬉しいときは大声で笑う。とても大切なことなのです。しかし、素直に感情を表現するのは、子供っぽく、みっともないことだと思っている人が案外多いのです。
「男がヘラヘラ出来るものか」と眉間にしわをよせて毎日を送っている人達です。
 そういう生活を永年続けていると、人間的な情動があまり感じられなくなってしまいます。一見、クールで感情の波がとても少ない人と思われがちです。しかし、感情がなくなってしまった訳ではありません。素直な感情を自分でグウッとおさえつけていることに、自分自身でさえ気づかなくなっているだけなのです。
 嬉しい。悲しい。腹立たしい。悔しい。しんどい。惚れる。憎い。みじめだ。甘えたい。……………。そんな感情が自分の中に沸きあがってきているのに、本人はまったく気づきません。そのため、日常会話の中で感情を表現する言葉の出てくる頻度が少なくなってしまうのです。
 このような状態をアレキシシアミといいます。アレキシシアミはギリシャ語で、感情を表現する言葉が欠乏している状態という意味です。『失感情症』あるいは『失体感症』と訳されています。
 失感情症の人は、自分の心の中や身体の中でいろいろなことが起こっていることに、とても気づきにくくなっているのです。テレビに熱中していて声をかけられたのに気づかなかった。心配事で頭がいっぱいで下車する駅を乗りすごしてしまった。このような体験と似ています。聞こえてはいるんだが聞こえない。見えているけど見えていない、と同じです。ストレスを強く受け、心の中で悲鳴をあげているのに、それを感じられません。その結果、『心身症』にとてもなりやすいのです。
『心身症』は、心理的な影響を強くうけたり、それが原因になって起きる『身体の病気』です。
 
仕事中毒は要注意
 さて、はじめの質問にあなたはいくつあてはまるものがありましたか。
 7つ以上あてはまるようなら、この『失感情症』の傾向が強いといえるでしょう。
 くれぐれも、胃・十二指腸潰瘍、神経性下痢、高血圧、発作性頻脈、偏頭痛、じん麻疹、円形脱毛症、多汗症、狭心症、糖尿病、頻尿、月経障害、インポテンツ、めまい、耳鳴りなどに充分気をつけて下さい。
 また、失感情症の人は職場では『過剰適応』になっているひとが少なくないようです。疲れきっているのに本人はそれに気づかず、ついつい仕事をやりすぎたりしがちです。『仕事中毒』にならないようにしてください。
 得点の高かった方は、はじめの文章をもう一度読んで下さい。今まで良いことだと思っていた行動も心身症の引き金になることがあります。周囲への気配りばかりでなく、ご自身の素直な感情に、もう少し敏感になって下さい。